FX取引を長く経験している人ならそれほどでもないかもしれませんが、FX取引を始めて間もない人が一番驚くことに「マージンコール」があります。
マージンコールというのは、利用者が所有しているFXのポジション(持分)が、取引において「危険水域」に入ったことを知らせる「警告」のことです。含み損(未決済分の損失)が拡大したことで、FX業者に納付してある証拠金の残高が規定枠より減少したことを示しています。
FXの初心者はマージンコールが来ると、何か高額な損失が起きて投資金が消滅するのではないかと不安に陥ります。FXでマージンコールはよくあることであり、必要以上に慌てる必要はありません。
ロスカットの実施
マージンコールの放置によって含み損が拡大し、一定の水準に達すると、「ロスカット」が行われます。ロスカットというのは、利用者の意思に関わらず、FX業者が利用者のポジションを強制的に決済することです。
ロスカットが行われると、所有していたポジションの損失が確定するため、証拠金が減少します。その代わり、ポジションが決済されることで、損失の拡大が防げます。つまり、ロスカットはFXにおけるセーフティネットの役割をしています。
その意味で、マージンコールはロスカットの事前の案内とも言えます。
ロスカットやマージンコールの値
ロスカットやマージンコールが行われる水準は各業者によって一様ではなく、また利用者が指定することもあります。
仮に、ロスカットのレベルが30%で、マージンコールのレベルが50%に設定されていた時の証拠金が40万円だったとします。
そして、為替が1ドル:100円の時に20万ドルの買いポジションを所有した場合、為替が以下に変動すると、マージンコールとロスカットが行われます。
1.マージンコール:為替が1ドル:99円
・含み損:1円×20万ドル=20万円
・証拠金:40万円-20万円=20万円
・証拠金率:20万円÷40万円=50%
2.ロスカット:為替が1ドル:98円60銭
・含み損:1.4円×20万ドル=28万円
・証拠金:40万円-28万円=12万円
・証拠金率:12万円÷40万円=30%
マージンコールの解除
マージンコールは以下の2つの方法で解除できます。
1.証拠金の追加
マージンコールは証拠金の比率の低下によって発生するため、比率を高めればおのずと解除されます。つまり、証拠金を追加すればマージンコールは消滅します。
2.ポジションの決済
含み損の存在がマージンコールの原因です。損失が確定してしまいますが、ポジションを決済すれば含み損が無くなるため、マージンコールは消えます。
マージンコールを放置するのも一つの手段
マージンコールに対してどのように対処するかは利用者の自由です。FX業者は必ず証拠金の追加を請求してきますが、従う必要はありません。仮に、証拠金を追加したとしても、為替の流れが改善しなければ、更なる証拠金の追加が必要になります。
マージンコールを放置して、ロスカットによって損失の拡大を防ぐのも一つの方策です。また、為替が反転すれば、マージンコールが自動的に消えます。
FX取引において、マージンコールの放置は決して悪いとは言えません。